青森ねぶた2005 撮影雑記

※この記事は数年後に書いておりますので覚え書きです。

2005年はねぶた祭を撮影するようになって2回目。
初年度はデジカメを持ち始めて数ヶ月、「映っていたらラッキー」くらいな気持ちでした。
デジタル機器のおかげで気軽にWebに出せる面白さも味わいました。
そして青森に馴染みのない方々から予想外にたくさんの反応があったことも驚きでした。
そうか、ではもっとたくさん撮ってみようという気になってきました。
なにしろ運行ルートには数え切れない数のねぶたが延々とパレードしてくれています。

ねぶたというのは、いわば3次元巨大行燈。
「ねぶた絵」という平面を描くことから始まり、これが立体像に仕上がり、
内部に灯りがともり、ゆっくりと動きはじめることで初めて、ねぶたに生命が宿ります。
なので、できるだけ運行中のものを撮ろうと考えているのですが、これが難しい。
暗いし、相手は動いてるし、まごまごしてるとスッと通過して、もう戻ってはきてくれない。
ブログに載せている写真数が団体ごとに違うのは、全く他意もからみもなく
膨大なボツ&ブレ写真に途方に暮れたという意味であります。

また「それぞれの制作者ごとにねぶたはずいぶん違う」ということもわかってきました。
(色や動物の違いを見分けるくらいで、初めはみな同じに見えていました。)
並べてみればサイズが同じであるだけの全く違う作風。
これはもっとたくさん撮ってみなくては・・と思うようになります。
とはいえ、無秩序にシャッターをきり、後で何がどれやらわからないという場面もあり。
撮ったら記憶の新しいうちに団体別に仕分けるという作業は毎年必須でもあります。


ねぶたは毎年新しく作りかえられ、その年の世相がどこかに反映しているもの。
2005年は「大地震がくるのでは」という噂が多く語られた年でもありました。
地方での大きな災害ニュースもいくつかあり
なんとなく世の全般に「無病息災・万事無事」を願うムードが流れていた気がします。
その影響か、05年のねぶた達はあまり華美な向きには流れず
堅調なテーマのものがほとんどであったように感じました。

少し前までは、地方文化の特色はまだ冷やかし半分で語られることも多く
ねぶた祭もまだまだ「名前は有名だが知られざる祭り」という位置づけにありました。
これが確実に変わっていったのは、ハイビジョン番組などでとりあげられ
毎年のようにTVで全国中継されるようになった影響も大きいと思います。
煌びやかな電飾と大きな構造物、たくさんの人物の動き、迫る囃子や太鼓の音響・・・。
非常にドラマチックでTVむきなイベントな訳です。
(実際、サラウンド再現などで臨場感を味わう素材として重宝されているそうです)

おかげで祭りの知名度が跳ね上がることにもなり、
祭り全体がTV向けデジタル処理向けなものへと少しずつ変化しているのを実感します。
いろいろな意味で都会の後塵を拝する地方都市ではありますが
祭り運営に関しては全国から視察がくるほどの円滑さがあり
チャレンジと伝統とが上手くバランスをとりあえている祭りなのだと感心しています。