青森ねぶた2004 撮影雑記・2


※この記事は数年後に書いておりますので覚え書きです。

いまでこそ、ねぶた祭りは夏の一大観光イベントとなっていますが、
誰でも参加型の大型祭りということもあり
昔から東北一帯の若者が集まるような、エネルギッシュな祭りでもありました。

とくに撮影を始めた04年前後は
「カラスハネト」と呼ばれるアウトローな存在が、祭りの話題の一翼でした。
本来は規定された衣装以外は参加できないのが「ねぶたのオキテ」なのですが
そのドレスコードを守ることを斜に見てしまう若さ故の勘違いなのでしょう、
全身を白や黒や茶などの衣装に身を包んだ団体に
祭りは少なからず殺伐としたムードを湛えていたのです。


おおむね彼等は地元住民ではなく、青森でハメをはずすために来たような人達。
一升瓶を振り回したり、運行コースに物を投げ込んだり、壊したり・・・。
またそういうカラスの狼藉ぶりを期待して見物にくる人々や
それをワイドショーに映そうとやってくるTVクルーなどもいて
一般の観光見物客には少々覚悟がいるような
大げさにいえば「女子供にはちょっと危険な祭り」でもありました。

実際、ルールを守ることを条例化するまでは(違反者は逮捕できる)
運行関係者にとって、無法者たちのコントロールは大きな問題だったようです。
このため「カラスは一般団体のハネトに入れない」
「後ろに送って最後尾の自衛隊のところでまとめてもらう」
「最後は荒れて危険だから、最後まで居ないで帰る」など
数年前までは暗黙のルール然としていたことがたくさんありました。

それでも青森住人なら祭りに参加するのは若さの証しでもあり
普通に体力がある人なら浴衣でハネトになるのが当然。
そうでないなら囃子や運行などなんらかの裏方。
ただ見物しているのは老人だけ、くらいのかなりハッキリした棲み分けもあったのです。
初めて見た頃は観覧席が老人ばかりで不思議な祭りだなとさえ思ったくらい。

その後、デジカメ等の急速な普及と、祭りの安全がはかられるようになり
観客席にはカメラを持った若い人が多くみられるようになる一方、
ハネトの輪には観光ツアーなどそれなりの中高年も増えて、
そういう年齢的な棲み分けはなくなり、平均化していっているようです。


そういう祭りの空気の移り変わりがあり
なんとなく祭りのダイナミズムが変わってしまった、とみる向きもあります。
しかしイベントというのは生身の人間が作るもので
時とともにその姿も方向も、少しずつ変わっていくのが世の流れでしょう。

私はというと、若干の健康問題もあってハネトになることには躊躇がありました。
でもカメラを持ったおかげで、ささやかな参加を果たせることになり
最後まで楽しむことができるようになりました。
そして、カメラという媒体とブログを通して当時の様子を残せるのなら
まさに見物人冥利につきるというものです。